ChatGPTで自己分析をすると、「調整力がある」「粘り強い」「計画力がある」といった、それらしい強みを整理してくれます。頼めば、そのまま応募書類に使えそうな自己PRまで作れます。
今回の記事で想定しているのは、次のような人です。
- ChatGPTで自己分析をして、強みや価値観までは出せた
- AIが作った自己PRにも大きな違和感はない
- ただ、「これで自己分析を終えていいのか」と少し不安がある
- 強みをもっと自分の言葉で説明できるようにしたい
想定している悩みは、AIの回答には納得できるのに、その根拠となる経験や判断を自分では十分に説明できないことです。
この記事では、私が実際にChatGPTから示された「調整力」という強みを5問だけ掘り下げた過程を紹介します。読むことで、
- AIの自己分析が十分に深まっているか確認する方法
- 強みを原体験まで戻って掘り下げる手順
- AIの言葉を自分の言葉に戻す考え方
が分かります。
結論から言えば、自己分析を深掘りするには、AIに「もっと詳しく分析して」と頼むより、AIが出した強みを仮説として、根拠になった経験まで戻ることが重要です。
ChatGPTの自己分析は、思ったよりよくできていた
今回、過去のやり取りやメモリの影響を避けるため、一時チャットでほぼゼロから自己分析を試しました。
最初に入力したのは、次のような簡単な依頼です。
転職を考えているので自己分析をしたいです。私の強み、弱み、価値観を分析してください。
するとChatGPTは、いきなり性格を決めつけず、仕事で評価されたこと、苦手な仕事、達成感を感じたこと、転職理由などを質問してきました。
回答を続けると、「計画力」「調整力」「粘り強さ」などを強みとして整理し、最後には300〜400字程度の自己PRまで作ってくれました。
率直に言えば、かなりよくできていました。
ただ、その自己PRを見ながら、「この調整力について、なぜそう言えるのかを自分でどこまで説明できるだろう」と考えました。
「それっぽい自己分析」と「自分を理解している」は別
ChatGPTの分析が間違っていたわけではありません。
問題は、AIが作った言葉を読んで納得しただけで、その言葉の根拠を自分自身が十分にたどれていない可能性があることです。
たとえば「調整力があります」と言えても、
- 具体的にどんな場面だったのか
- 何が難しかったのか
- 何を基準に判断したのか
- なぜその方法を選んだのか
を説明できなければ、まだAIの言葉を借りているだけかもしれません。
以前の転職活動では、自分で経験を棚卸しし、強みを考え、自己PRを書いてからAIに文章を整えてもらっていました。
時間はかかりましたが、原体験を自分で何度も思い出していたので、質問されても文章の外側まで説明できました。
今回の違いは、文章が完成する速さに、自分自身の理解が追いついていないことでした。
そこで、「調整力」だけを一問一答で5問掘り下げてみました。
「調整力」を5問だけ深掘りしてみた
1.調整が難しかった具体的な出来事は?
思い出したのは、予期せぬトラブルで複数の顧客の予定変更が必要になった仕事です。
全員の希望をそのまま通すことはできず、どこかで落としどころを作る必要がありました。
2.何を基準に案を考えていた?
私は単に、それぞれの希望を比べていたわけではありませんでした。
変更後の予定への影響、追加の負担、遅れの大きさなどを見ながら、全体として大きな問題を避けられる案を考えていました。
ここで、調整力には「人の間に入る」だけでなく、条件を整理して代替案を作る力も含まれていると分かりました。
3.相手に納得してもらうために何をしていた?
自分の案を最初から押すのではなく、まず相手の事情を聞きました。
何が譲れないのか、逆にどこなら変更できるのかを確認し、担当者が社内で説明するときに必要な材料も整理して渡していました。
4.話が止まったときはどうした?
担当者同士では話がまとまっても、その先の承認で止まることがありました。
その場合は、何が判断を止めているのかを確認し、必要な情報を追加しました。
振り返ると、私は案を出した時点ではなく、意思決定して物事が進むところまでを自分の仕事と考えていたようです。
5.自分にとって「調整する」とは?
5問ほど振り返って、私は調整を、
相手の立場に立って判断に必要な材料を揃え、納得して意思決定できる状態をつくること
と考えているのだと分かりました。
最初の「調整力」という言葉自体は間違っていません。
ただ、5問掘った後では、その言葉の中身を自分の経験から説明できるようになりました。
深掘り前と後で何が変わったのか
深掘り前なら、
複数の関係者とコミュニケーションを取り、粘り強く合意形成できる。
という説明でした。
深掘り後は、
相手の事情や意思決定の流れを考え、表面に出ていない制約を確認する。関係者への影響を整理し、相手が判断できる材料を作って現実的な落としどころを探す。
と説明できます。
重要なのは、後者の方が長いことではありません。
「調整力」という言葉の根拠を、自分自身が説明できるようになったことです。
面接で「具体的には?」「なぜその判断をした?」と聞かれたときに答えられるかは、自己理解の深さを確かめる一つの方法でもあります。
面接で使えるエピソード自体が思いつかない場合は、面接で語れるエピソードが思いつかない人へで、日常の小さな出来事から経験を掘り起こす方法を紹介しています。
ChatGPTの自己分析を深掘りする4つの手順
1.AIが出した言葉を一つだけ選ぶ
「計画力・調整力・粘り強さ」を全部同時に掘らず、まず一つに絞ります。
2.根拠になった具体的な経験へ戻る
「なぜ私にその強みがあると判断したのか」ではなく、その強みが表れた具体的な出来事を一つ取り上げます。
3.「何をしたか」より「なぜそうしたか」を掘る
何を基準に判断したのか、何を優先したのか、別の方法ではなぜ駄目だったのかまで聞いてもらいます。
4.最後に自分の言葉で定義し直す
AIが付けたラベルをそのまま採用する必要はありません。
原体験を見たうえで、「自分にとってこの強みは何なのか」を言い直します。
自己分析が深まったか確認する4つの質問
AIが出した強みについて、次の4点を確認します。
- 具体的な出来事を一つ挙げられるか
- なぜその行動を選んだか説明できるか
- 別の経験でも同じ傾向があるか
- ChatGPTの回答を見なくても、自分の言葉で説明できるか
答えに詰まるところがあれば、そこが次に掘る場所です。
特に、AIの文章を読めば納得するのに、画面を閉じると説明できない場合は、AIの言語化に自分の理解が追いついていない可能性があります。
一つの経験だけで「本当の強み」と決めない
今回、5問で「調整力」の意味はかなり具体的になりました。
ただし、一つの経験だけで「これが自分の本質的な強みだ」と断定するのは早いと思います。
さらに確かめるなら、
- 別の仕事でも同じ行動をしているか
- 逆に、その強みを発揮できなかった経験はないか
- 一度きりではなく繰り返している傾向か
も確認します。
AIの分析に納得できたときほど、自分の仮説に合う経験だけを集めないことが大切です。
まとめ|AIが出した「強み」は、自己分析の終点ではない
今回、一時チャットで自己分析を試したところ、ChatGPTは予想以上にうまく強みを整理し、自己PRまで作ってくれました。
だからこそ、きれいな文章ができたところで自己分析を終えない方がよいと感じました。
AIが「あなたの強みは調整力です」と言ったら、
具体的な経験へ戻る → なぜそうしたかを掘る → 別の経験でも確かめる → 自分の言葉に戻す
という順番で確認する。
ChatGPTが出した強みは、答えではなく自己理解を深めるための仮説です。
AIに自分を決めてもらうのではなく、AIが出した言葉を手掛かりに、自分の経験をもう一度見直す。その方が、自己分析を自分のものにしやすいと思います。

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