前回の記事では、私が自己探求を始めたきっかけについて書きました。
自分の人生なのに、本当に自分で選んできたのだろうか。
そんな違和感から、自己探求を始めたという話です。
今回は、その最初の一歩について書いてみます。
自己探求をするつもりはなかった
もともと私は、AIを自己探求のために使おうと思っていたわけではありません。
きっかけは、ChatGPTのメモリ機能です。
「これを覚えておいて」
「今後はこの前提で話してください」
と伝えると、その内容を今後の会話に反映してくれる機能です。
せっかくなら、私のことを覚えてもらった方が会話しやすいだろうと考えました。
そこで私は、
仕事。
趣味。
資格。
興味があること。
将来やりたいこと。
そうした情報を整理しながら、少しずつプロフィールを伝えていきました。
ちなみに、メモリには容量の上限があります。
長く使っていると情報が増えていくので、
「不要な情報を削除してください」
「内容を要約して圧縮してください」
と、ときどき整理しておくと使いやすいと思います。
自分のことなのに、うまく言葉にできない
最初は簡単だと思っていました。
自分のことなのだから、説明くらいできるだろうと思っていたのです。
ところが、いざ言葉にしてみると意外と難しいことに気づきました。
私は資格取得が好きです。
お金を貯めることにも関心があります。
FIREにも憧れがあります。
断捨離も好きです。
しかし、
でも、言葉にするとどこか違和感があるのです。
プロフィールを整理しているつもりだったのに、気づけば自分自身のことを考え始めていました。

AIに言われて、少ししっくりこない時がある
プロフィールを記憶してもらうと、AIはその情報を前提に話してくれるようになります。
例えば、
「あなたは資格取得が好きだから、~~~」
「あなたはFIREに興味があるから、~~~」
といった具合です。
ところが私は、違和感を覚えました。
確かに、それらは自分でAIに伝えた情報です。
しかし、改めて他者から言われると、どこかしっくりこないのです。
今思うと、この違和感はとても大事だったように思います。
例えば私は、
「資格取得が好き」
と説明していました。
でも本当に好きなのは資格そのものなのでしょうか。
知識を増やすことなのか。
成長を実感することなのか。
努力が形になることなのか。
あるいは、人から評価されることなのか。
自分で使っていた言葉を改めて見直すきっかけになりました。
そして、自分の理解と実際の感覚には、少しズレがあることに気づき始めたのです。
AIの分析に違和感があるときは、その感覚を無視せず、「何が違うのか」を分けて考えると自己理解を深めやすくなります。
具体的な進め方は、ChatGPTの自己分析がしっくりこないときの対処法で整理しています。
自分で自分に気づけないことがある
このことを考えていて、転職活動中のある出来事を思い出しました。
私は以前、ある損害保険会社の最終面接を受けたことがあります。
その面接で、
「これまでの人生で、一番チャレンジしたことは何ですか。」
と聞かれました。
私は、その場でうまく答えられませんでした。
面接が終わった帰り道、その質問がずっと頭から離れませんでした。

駅まで歩き、電車に乗り、家に帰るまでの一時間ほど、ずっと考えていました。
すると、少しずつ思い出してきたのです。
外部の大学院への進学。
難しい資格試験への挑戦。
初めての転職活動。
仕事では、新しい取り組みを提案し、上司や経営層を説得して予算を獲得し、多くの人を巻き込んで進めた案件もありました。
振り返ってみれば、私はいろいろなことに挑戦していました。
それなのに、面接の場では思い出せなかったのです。
当時は、
「準備不足だった。」
と思っていました。
もちろん、それも間違いではありません。
でも今は、少し違う見方をしています。
自分にとって当たり前だった出来事は、自分では「チャレンジ」として認識しにくいのではないか。
そう思うようになりました。
自分なりに必死に進めていたのは間違いない。
でも、それを「人生でのチャレンジ」として整理していたわけではありません。
だから、突然聞かれても取り出せなかったのだと思います。
自分のことは、自分が一番よく分かっていると思いがちですが、
実際には、自分の経験を客観的に整理するのはかなり難しい作業です。
一つの質問について一時間ほど考え続けて、ようやく思い出せることもあります。
自己分析で毎回そこまで時間をかけていたら、なかなか前に進めません。
だからこそ、自分をよく知る人との対話や、AIとの壁打ちには価値があるのだと思います。
もし当時の私がChatGPTと対話していて、
「これまでの話を聞くと、あなたはいろいろなことに挑戦してきた人ですね。」
と言われていたら、
「あれも挑戦だったのか。」
と気づけたかもしれません。
AIは、私の代わりに正解を出してくれる存在ではありません。
ただ、自分では当たり前すぎて見落としていた経験に、別の言葉を与えてくれることがあります。
その言葉に違和感があれば、そこを掘り下げればいい。
しっくりくるなら、その言葉を手がかりに自分の経験を整理すればいい。
そう考えると、AIとの対話は、自分の中にあるものを思い出すためのきっかけになるのだと思います。

「何がしたいか」より「何が嫌か」の方が答えやすい
対話を続ける中で、もう一つ気づいたことがあります。
私は、
「何がしたいですか?」
という質問には、なかなか答えが出ません。
しかし、
「何が嫌ですか?」
ならサクッと答えられることが多いです。
例えば、
・探し物ばかりしている環境は嫌だ
・高圧的な人は苦手だ
・時間をムダにするのは嫌だ
・やりたくないことを我慢し続けるのは嫌だ
好きなことや理想の人生は曖昧なのに、嫌なことは意外と具体的に出てきます。
後から考えると、これは解像度の違いだったのだと思います。
理想はまだぼんやりしています。
しかし、嫌だった経験は実際に体験しているので具体的に思い出せます。
だから、嫌なことの方が言葉にしやすいのです。
そして、
「なぜそれが嫌なのか」
を掘り下げていくと、価値観が見えてきます。
探し物が嫌なのは、効率を大切にしているから。
高圧的な人が嫌なのは、心理的安全性を重視しているから。
時間のムダが嫌なのは、自分の人生を自分で選びたいから。
好きなことが分からなくても、嫌なことからなら自分を理解しやすかったのです。

AIは答えをくれる存在ではなかった
私は最初、AIが答えを教えてくれるものだと思っていました。
しかし実際に対話してみると、AIは答えを断定するというより、たくさんの仮説を提示してきます。
「こういう価値観ではありませんか」
「こういう欲求があるのではありませんか」
「この経験が影響しているのではありませんか」
その中には、しっくりくるものもあれば、違和感のあるものもあります。
だから私は、
「それは違う気がする」
「どちらかと言うと、こうかもしれない」
と返しながら対話を続けました。
すると少しずつ、自分でも納得できる言葉に近づいていったのです。
AIの分析に違和感があるとき、その回答は間違いだから価値がない、というわけではありません。
むしろ、
「なぜ違うと感じるのか」
を考えることで、自分の感覚が少しずつ見えてきます。
逆に、AIの言葉に違和感がないときもあります。
その場合も、自分と違う言葉で説明してくれることで理解が深まります。
自分では、
「安定が欲しい」
と思っていたことを、AIが
「予測できる環境を求めている」
と言い換えてくれるかもしれません。
自分では、
「資格取得が好き」
と思っていたことを、AIが
「努力が形になることに安心感を持っている」
と説明してくれるかもしれません。
言葉が変わると、見え方も変わります。
振り返ってみると、AIは答えを与えてくれる先生ではありませんでした。
自分の考えを整理するための壁打ち相手だったのだと思います。

やってみよう
もし興味があれば、ChatGPTに次のように入力してみてください。
私のプロフィールを整理したいので、質問してください。
一度に一問ずつお願いします。
私のおすすめは、一問一答形式で進めることです。
一度にたくさん質問されるよりも、一つの質問についてじっくり考えられます。
特にスマホで対話する場合は、その方が見やすく感じました。
生成AIに慣れていない人は、次のように少し具体的に依頼してもいいと思います。
自己理解を深めたいです。
私の経験、価値観、欲求を整理するために、一問一答で20問インタビューしてください。
1問ずつ質問し、私の回答を踏まえて次の質問を選んでください。
また、面接や自己分析につなげたい場合は、こんな聞き方もできます。
私がこれまでに挑戦してきたことを整理したいです。
学生時代、仕事、資格、趣味、人間関係などを含めて、一問一答で質問してください。
私が当たり前だと思って見落としている経験も拾えるように、少し深掘りしてください。
一通り答えた後は、次のように聞いてみるのもおすすめです。
ここまでの回答をもとに、私が大切にしていそうな価値観や欲求を整理してください。
また、次の質問にも答えてみてください。
・なぜ今の仕事を選びましたか?
・なぜお金を貯めたいですか?
・なぜその趣味が好きですか?
・これまでの人生でチャレンジしたことは何ですか?
・最近、強く嫌だと感じたことは何ですか?
すぐに答えられるでしょうか。
もし答えに詰まったら、そこが自己探求の入口かもしれません。
さらに、
「なぜ?」
を3回繰り返してみてください。
思っていた以上に、自分でも知らなかった理由が見つかるかもしれません。
次回予告
こうして自己探求を始めた私は、「好きなこと」よりも「イライラすること」や「嫌なこと」から自分を探るようになりました。
その後、私は「好きなこと」よりも、イライラや嫌なことから自分の価値観を探るようになりました。具体的な掘り下げ方は、以下の記事「イライラは自己探求の入口になる」で紹介しています。


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